学びの場を作る人は必読!MAKE SPACE

対象シーン

    空間デザインのアイディアに詰まったとき

    もう少し遊び心が欲しいとき

対象年齢

    全年齢

実施費用

    約4千円(単行本)

 

今日はd.schoolの教官達が書いたこの本を紹介したいと思います。

 

MAKE SPACE メイク・スペース スタンフォード大学dスクールが実践する創造性を最大化する「場」のつくり方

 

スタンフォード大学 d.schoolのScott Doorley と Scott Witthoftが書いたこの本では、与えられた空間を自らハックして、よりクリエイティブな空間へと仕立て上げるアイディアが100個近く載っています。

d.schoolは言わずと知れた世界的に有名なデザインスクールですが、d.schoolが特にかっこいいのは、創設者や教官達が与えられたスペースを自在にハックし、その都度クリエイティブな空間をDIYで作っていることです。

本の冒頭で紹介されているように、当初はスタンフォード大学からも疑心暗鬼の目を向けられていたd.schoolは、キャンパスの端にある古い空間しか与えられませんでしたが、それを好機ととらえ、自ら空間を作り上げたそうです。その後幾度か拠点の移動があったそうですが、その度に、斬新なアイディアと優れた実行力で、クリエイティブなスペースを作り上げています。

彼らに言わせると、そうしたハックは

“practicing what we teach” (教えていることを実践しているだけ)

だそうです。

 

しびれますね。

 

Faciliiでもこの本を重宝しており、あらゆるインスピレーションを受けてきました。

以前 シロハコ の記事でも紹介しましたが、他にも現在進行中のプロジェクトである簡易移動式プレゼンテーションスクリーンもこの本からインスピレーションを受けて作っているものです。

 

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このプロジェクトについては、また後日改めて記事にしたいと思います。

 

さて、この本では、学生のみならず、研究者も、教師も、makeしようぜ!、というメッセージがこめられています。

Faciliiでは、この点に非常に強く共感しています。

Makers Movementが教育へと入り込み、Seymour PapertのConstructionism(構築主義)アプローチが再び脚光を浴びている今、学生がmaking, tinkering, hackingを行うことは確かに増えています。しかし、作るのは、学生だけでいいのでしょうか?

教師だって、ものを作ることで、より良い授業を提供できるのではないでしょうか?

そもそも、モノづくりのできない人が、、makingをベースとした授業なんて行ってよいものでしょうか?

 

Faciliiのメンバーは、studentであり、educatorであり、researcherです。

 

モノづくりでは、この三者が密接に関連しあいます。

 

モノづくりを通して得る学びを持ってして、誰しもがstudentになる。

モノづくりをファシリテーションする際には、誰しもがeducatorになる。

そして、作ったモノを人がどう使うかを観察し改良を思案することで、誰しもがresearcherになる。

 

デザイナーやエンジニアにとっては当たり前のことですが、トレンドや最新技術がとてつもない速さで流れていくこの時代において、教育者やファシリテーターも常にスキルをアップデートしなければいけないのです。

 

木工やDIYはもちろんのこと、3Dプリンターやレーザーカッターも、当たり前のように使えないといけないのです。

 

そして、創る場を与える立場であるファシリテーターにとっても、全く同じことが言えます。

 

ドキッとしたファシリテーターの方もいるかもしれません。

 

でも恐れる必要はありません。創造するスキルを身に付けていくことは、この世で何よりも楽しい行為なのですから!

 

さあ、Faciliiを読んで、MAKE SPACEも読んで、もっとクリエイティブで楽しい学びの場を増やしていきましょう!

 

(備考)

先日エーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読んでいたのですが、そこに書いてあったことがなかなか衝撃的でした。要約すると、

人はしばしば創造物を作る、つまり世界に何か制作物を産み出す行為で愛するという気持ちを満たすことがあるが、それは正しい愛の形ではなく、自律した二者の人がその核を重ね合わせる行為こそが、正しい愛の形なのだ

ということでした。

なるほど、創造する際のあの幸福感は、愛する/愛される気持ちが擬似的にも満たされるからなのか!という妙な納得感がありました。

が、皆さんもどうか、モノづくりに引き込まれすぎずに、きちんと愛する人々と向き合ってくださいね。