対象シーン
エンパシー(≒共感力)を育むワークショップの際に、圧倒的なアイスブレイクが必要なときに
対象年齢
中学生以上(ある程度わきまえられる年齢でないと、危険が伴います)
実施費用
約10,000円(道具費)(各グループにスマートホンホルダー&イヤホン)
デザイン思考やUX設計があらゆる業界へと普及してきたことによって、エンパシーという言葉が脚光を浴びてきています。
コトバンクによれば、エンパシーとは
感情移入。人の気持ちを思いやること。
[補説]シンパシー(sympathy)は他人と感情を共有することをいい、エンパシーは、他人と自分を同一視することなく、他人の心情をくむことをさす。
「共感力」ともよく訳される言葉ではありますが、シンパシーと違って同情するのではなく、その人の立場になって同じ感情を共有することがエンパシーです。
この記事では、そんなエンパシーを育成するためにFaciliiが考案したとっておきのアクティビティを紹介します。その名も、
HUMAN DRONE RACE(ヒューマンドローンレース)
一言で言えば、ドローンではなく人間を操作しレースで勝利に導く、というゲームです。

ドローン担当の人は、目隠しをし、頭部にiPhoneをつけ、イヤホンを装着した上で、レースのコースに立ちます。パイロット担当の人は、レースコースとは隔離された部屋から、ドローンのiPhoneとのテレビ電話を通じてドローンの目線でレースに参加し、音声を通じてドローンを操作していきます。こうすることで、文字通り他人の立場になって世界を見ることができるのです。
Faciliiで実際にやってみたところ、以下の意外な発見がありました。
- 思った以上に進むスピードは遅い(というか、ドローン担当が怖い)
- 思った以上に静かに進む(ドローン担当はイヤホンを通してパイロットの指示を聞くため、基本音はありません)
- が、音声を通じた指示出しは回数を重ねればコツを掴むことができ、うまくいけば非常にスムーズかつ少ない言葉数でドローンをナビゲートできる
- コミュニケーションを(半ば強制的に)沢山とらせるアクティビティなので、アイスブレイクにももってこい
- コース設計が戦略に大きく関わってくる&とても盛り上がるため、コース設計担当者も設けた方が良い
ちなみに、このために購入した道具は以下です。
- スマホ用ヘッドストラップ
- 百均のイヤホン(イヤホンが無いと各グループのパイロットの指示がドローン側でダダ漏れとなりカオスになります)
以上がHUMAN DRONE RACEを実施するための最低限の工程になりますが、このアクティビティ自体はもっと奥が深いものになります。
というのも、音声の操作は、HUMAN DRONE RACEを楽しむための一つの手段にすぎず、もっとレベルを上げてより深いエンパシーを育成することができるのです。イメージとしてはこんな感じ。
レベル1:音声による操作
レベル2:ドローン担当の身体に振動モーターを取り付け、パイロット担当にはそれを振動させるコントローラーを渡し、よりドローンのように操縦してもらう
レベル3:Electronic Muscle Stimulation(通称EMS)を使って、本当に他人を操縦する
ここまで来ると、もはや人権や倫理観に弊害が出てくるような気もしますが、それ故に真のエンパシーが育成できると思います。(ただしFaciliiでもまだ試していないので、自己責任でやってみてください笑)コントローラーを作ったり、iPhoneを360度の全天球カメラにすることでVR的に没入してみたり、工夫はいくらでもできるので、作る過程もワークショップ形式にしてみるのが良いと思います。一例として、こんな4DAYワークショップを考えてみました。

またレベル3に関しては、神経科学者のグレッグ・ゲイジによる「自分の脳で他人の腕を操る方法」というタイトルのTEDトークや、JackIn HeadというSony CSLの暦本先生の研究が参考になるのでこちらも是非チェックしてみてください。
ということで、今回は少々エキセントリックなアクティビティの提案となりましたが、このように企画側も参加者もみんなで楽しめるようなクリエイティブなアクティビティを引き続きFaciliiでは発信していきます!